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それから数日、駿貴は、麗華や隼人と名付けられた、息子と遊び
夜は、フウランの優しさの中に、のめり込んで、穏やかな時を過ごした。
いよいよ、明日は、日本へ帰ると言う夜、フウランは、駿貴を抱き
「少しは、悲しみは癒されましたか?」と、聞く。
「うん、フウランのお陰で、随分元気になったよ、別れるのが辛いな~」
と、その胸で甘える。
「悲しくなったら、ここにフウランが居ると、思い出して下さい」
「うん、有難う」そう言った駿貴は、初めてフウランを
浅黄の代わりにでは無く、フウランとして抱き
思いっきり、自分の全てを注ぎ込み、フウランを喜びの高みに連れて行く。
「駿、駿、駿~~っ」フウランは、絶叫し、熱く激しい喜びの海に沈んだ。
ぐったりしているフウランに「お休み」と、優しいキスを送って抱きしめる。
麗華が、後を追うかも知れないと、翌朝は、まだ暗いうちに船に戻る。
日が登り、高台に有る宮殿のテラスに、麗華の手を引き、隼人を抱いた
フウランが出て来て、港を出て行く、駿貴の船を見送る。
愛しい愛しい、私の駿、今度は、いつ逢えるの?と、涙を零しながら。
「駿、少しは、元気になった様だな」と、その夜、部屋に呼んだ長春も喜ぶ。
「うん、また子供が出来ていた、今度は、男の子だった」
もう、長春には、何も隠すまいと、本当の事を言う。
「そうか、やはり子供は、唯一の心の薬だな」と、駿貴を抱き寄せ
「私には、そんな子供は居ないが、こうして、駿と肌を重ねていると
嫌な事は、何もかも忘れ、新しい力が湧いて来る」と、言う。
「その父上に付き合わされて、航海に出たから、フウランの国に
子供を二人も作る事になったんですよ、この責任の半分は
父上にも有るんですからね」と、駿貴に言われ
「それは、飛んでも無い言いがかりだ」と、長春は、反論する。
「いいえ、父上が、航海に連れて出なければ、こんな事にはなっていません」
「分かった、分かったから、その話は、もう、お終いにしてくれ」
早く、駿貴と睦み合いたい長春は、早々に話を切り上げる。
そんな長春を、散々焦らして、駿貴は、大きな喜びの渦に巻き込む。
「駿、、好ぃ、、」長春は、その中で喘ぎながら、駿貴の名を呼ぶ。
二人は、ドロドロに溶けた、熱いマグマの様な、うねりの中で
互いの喜びを貫き合う。
「駿、、もう、、駄目だ」「まだですよ」「駄目だって、、うぁっ~~」
波の無い、穏やかな海の上で、果てしない喜びの夜は、更けていく。
やがて、航海は終わり、帰った駿貴は、いつもの忙しい任務に追われる。
「良かったですね、駿様、お元気になられて」典子がそう言い
「はい、やはり、父の言う様に、海に出たのが良かったのでしょう」
志麻も、嬉しそうに言う。
だが、元気になったのは、海に出たからではない、その海の向こうの国で
「駿様、これからは、自分の子供達を、立派に育てないといけません。
悲しんでばかりは居られませんよ」と、自分の悲しみに
終止符を打ってくれたのは、フウランだった。
そうだ、私は、浅黄が残した司を始め、他の子供達も
幸せにしてやらないと、と奮起し、駿貴は
浅黄を失った悲しみに、やっと蓋が出来たのだった。
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