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週末になり、整理整頓された部屋を見渡してみると、生活感のない殺風景な部屋だった。結局、自分がいない間はゴミだけがこの部屋の中で自分の人間らしさを表現していたような気がする。綺麗に片付けた部屋では、小さめの机と、ソファと、大きめのテレビがあるくらいだった。
テレビの画面を見つめていると、なんとなく自分がいない時の日常を思い出した。そういえば、いつもテレビを見ながら酒を飲んでいた。そして、そこから聞こえてくる情報や、テレビに出ている人達に、文句ばかり言っていた気がする。
犯罪のニュースがやっていれば、犯人に対して、こいつはおかしい。人間の屑だ、生きている価値がない。芸能人のゴシップを聞けば、こんなやつをテレビに出すな。こいつは、調子に乗っているんだ、二度とテレビに出すな。バラエティ番組を見れば、くだらない。こんなことに電波を使うな、他に放送すべきことはいくらでもあるだろう。
こんな調子で、見るもの全てを、映る人間全てを否定していたような気がする。よく、自分のことは棚に上げてそんなこと言えたもんだなと思うが、考えてみれば自分がいなかったんだし、棚に上げる自分もいなかったのだろう。
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