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「そう。蝶も同じで関係なさそうな小さなことから大きなことに発展するってこと。まさに、モモの羽ばたきはトルネードを引き起こしたよ」
「はぁ? どこで?」
私の失恋がどこでトルネードを起こしたのか、ぜひ詳しく聞きたいものだ。
だが、竜也は私の問いには答えずにさっきまでの真面目な顔を崩して何かを企んでいそうな悪い笑みを浮かべている。
人が振られたという日にまったくもって不謹慎だ。
「竜也、ずいぶんと嬉しそうだね。さっきまでは神妙な顔していたくせに、馬鹿にしたいわけ?」
「違う、違う」
否定する竜也の顔はにやけていて締まりがない。これじゃあ信用なんてできるはずがない。
「慰めてくれるなんて優しいなと思っていたけど、勘違いだったね」
「まぁ、ある意味大きな勘違いだよな」
「なによ、やっぱり馬鹿にする気だったってこと!」
私が睨めば、竜也は慌てて否定する。
そんなに慌てるくらいなら、人の不幸を安易に笑わなければいいのだ。
「慰めるは間違いではない。ただその前に根本的なズレが生じてだな……おかげでぬか喜びと、やっぱり駄目かっていう絶望を同時に味わってしまっただろ」
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