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「何が言いたいのか、さっぱりわからないんだけど」
ブラジルだ、テキサスだ、桶屋だと話が飛びすぎている。すれ違いどころの話ではないだろうと突っ込みたい。
「これからゆっくり教えてやる」
「なんか偉そうで嫌」
「納得したんなら、大人しく聞いてくれ」
納得したのは別れ話であって、竜也に偉そうに物を言われる理由にはならない。だが、これ以上食い下がっても話がややこしくなるだけだと黙って聞くことにする。
「さっき、真剣になってくれて嬉しいって言ったよな?」
「うん、言ったね。私が振られたことを真剣に心配してくれてたでしょ? そういう竜也の気持ちが嬉しかったよ」
面と向かって言うのは恥ずかしく少し俯いてしまったが、竜也も照れているのがわかる。
お礼を言われるのも気恥ずかしいものなのだろう。
「くそっ、これが本当なら……いや、本当にする!」
「何、一人で言っているの?」
独り言を呟きだした竜也を覗きこめば、また肩を掴まれる。今度は力加減を考えてくれたようで痛みはない。
「気持ちが嬉しいんだよな、気持ちが大事と言ったよな」
「えっ、あっ、うん」
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