蝶とトルネード

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「落ち着いて見えていたけど、そうだよな、ごめん。戸惑うのも当然だよな。俺も同じだ」  妙に納得している竜也だが、同じではないだろう。 「竜也まで戸惑うなんておかしいよ」 「そうか? 言われてみればそうだよな。俺は腹を決めたわけだし……モモがやたら落ち着いているからさ」  桶谷くんよりもよほど竜也の方が心配してくれているだろう。振られた話を聞いてくれるために腹を決めるなんて言い方、ちょっと大げさすぎるくらいだ。 「そこまで真剣になってくれなくても十分嬉しいよ。ありがとう」 「いや、ここはちゃんと言わせて欲しい」  竜也は一体何を言いたいのだろうか。友人として桶谷くんが私にした仕打ちを謝るとかくらいしか思いつかないけど、どれだけいい奴なんだ、竜也。 「い、いいよ。そんなにまでしてもらわなくても。もうわかったからさ」 「駄目だ。言葉にしないと」  私たちの押し問答はしばらくの間、静かな公園に響き渡った。幸いにして人が少ないため誰にも迷惑はかけなかったと思う。 「わかった。そんなにどうしてもって言うなら手短にね」 「手短ってな……俺は、これからの大切なことを――」
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