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今となっては謝ろうとしていたのか、説教しようとしていたのかは謎だがあそこまで引き延ばされていた内容が気になるため尋ねてみる。
そうすれば、竜也は少し迷ってからゆっくり口を開く。
さっきまで言おうとしていたのに、焦らす意味がわからない。
「足掻いても、世界や桶谷は変わらないって言ったよな?」
「言ったけど……」
一体それの何が関係あるのか、竜也の言いたいことがさっぱり見えてこない。
「変わる、世界は。そう! ブラジルの蝶のはばたきはテキサスでトルネードを引き起こすんだ!」
「はっ? 何、言ってるの?」
蝶が飛んでトルネードが起こるなんて馬鹿げている。世界はそんな小さなことで、混乱したりしない。私の失恋もなんの影響も起こさないんだ。
「聞いたことあるだろう。風が吹けば桶屋が儲かると似たものだよ」
「風が吹けば土埃が舞う、そうすると盲人が増えて三味線が売れる、そうすると三味線の材料である猫が殺され、ネズミが増える。ネズミが増えると桶が齧られて桶屋が儲かるっていうことわざのこと?」
諸説あるが、思い出せる限りで上げてみれば竜也は満足そうに頷く。
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