みーくん

1/1

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

みーくん

 いたずら好きのガキを見た時の話だった。  趣味で大型量販店に行くのが日課になっている。電化製品を見ると、気分がウキウキになる。  新製品を見ていると、後ろからおばちゃんの声がする。 「やめて! みーくん! やめて!」 「いきなり何?」と思って振り向くと、おばちゃんが乗馬機に乗って前後に激しく揺れながら叫んでいる。 「みーくん! やめて! みーくん!」  恐らく、そのみーくんがおばちゃんと乗馬機に乗ってスイッチを最大出力にした瞬間に1人だけ降りて逃げたのだろう。だが、周囲を見渡してもみーくんらしき人物は見当たらない。おばちゃんは怖がりなのだろうか。自分自身で電源を切れないようで延々と揺られながら喚き散らしている。  暫くして、店長らしき人物が出てきて乗馬機を止めてもらい、ようやく揺れから開放された。  売り場を見回ってからしばらく時が経った頃、再びさっきのおばちゃんの声がする。 「みーくん! 返して! みーくん! 返して!」  視点をおばちゃんに移すと、おばちゃんは普通に立っていて、子供が隣にいる。恐らくこの子供がみーくんだろう。しばらく見ていると、おばちゃんの肩が段々と盛り上がってきた。辺りを見渡すと低周波パッドコーナーだった。パッドを肩に取り付けた直後、みーくんにリモコンを取り上げられて肩の上下運動で遊ばれてるのだろう。おばちゃんの肩が上下に激しく動いていた。 「みーくん! 返して!」  いたずら好きのガキからの反撃である。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加