踏んでしまった破片

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踏んでしまった破片

 ある日、連れがキッチンで照明をつけずにコーヒーを淹れていた。カップを落として割れた音が大きく聞こえた。その音を聞きつけた俺はすかさず叫んだ。 「今から俺がそっちへ行って、片付けてやる! 動くんじゃないぞ!」  そう叫び、キッチンに立ち入った一歩目でバリッと破片を踏んでしまった。 「いたたたたっ! 踏んだ! 踏んだ! 踏んだ!」  慌てて叫び散らす俺。さっきからの威勢はすっかりなくなっていた。 「どうしたの!?」  聞いた事のない悲鳴を聞いて駆けつけた連れが、俺にそう問いかける。 「踏んだ! 踏んだ! 踏んだ!」  パニック状態で、思考停止になり、勢いよく同じ単語を連呼する。  連れが速やかに照明を付けて、俺の足の裏を見た。昨日連れが食べた卵の殻の破片だった。 卵を食べた連れからの反撃である。
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