催しの賞金

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催しの賞金

 高校の時の夏休みの出来事である。近所の商店街の夏休み企画で、1番大きなカエルを捕まえてきた人には賞金を出すという催しがあった。  夏休みに予定がない自分としては絶好の機会だった。暇な連れも1人誘った。カエルが居る場所といえば、近所の者は皆、商店街付近の田んぼを想像するだろう。だが、皆が行かない少し離れた場所に池があり、そこにカエルがいる事を知る者は少ない。まさに隠れスポットである。自転車で30分ぐらいの距離だ。思い切って自転車に乗って行く事にした。  池に近づくにつれて、カエルの鳴き声が段々と大きくなってくる。フェンスを越えた先にいる目標は物凄く巨大ものだった。  捕まえる網は持ってきているが、これでは小さくて到底捕まえられそうにない。そこで、家から二回り以上大きい網を取ってくるまでの間、連れに見張っておくように頼んだ。  大きい網を取ってくる為、自転車で往復し、約1時間が経った。気候はまさに炎天下である。連れは汗ビッショリになり、藪蚊にあちこち刺されながらも、目標を逃がすまいとジッと見張っている。  目標を捕まえるべく近づき、角度が変わったら、よりはっきりと見えた。    目標は、大量のゲロだった。  連れはまだその事に気づいておらず、少しずつ息を潜めて歩み寄っている。  心の中でひたすら謝った。  池とゲロからの反撃である。
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