きっとそれが大人になるってこと

2/8
前へ
/8ページ
次へ
  『こんにちは』 「こんにちは、ニシキさん」 『まーちゃんどうしたの? 高校休み?』 「あー……」  私が平日の昼間。本来なら授業を受けている時間に家にいるのは、両親の離婚騒動が原因だ。  どうしようかな。しばらく考えてから、私は言う。 「ニシキ、さん」 『うん、どったの?』 「ちょっと話しても、いいですか」 『いいよー。なに、家の話?』  ずばりと投げ込まれた言葉に、私は、えーっと、と言葉に詰まる。  画面の向こう。ニシキヘビのイラストアイコンのかなた。顔も知らないけど、もう五年もこうして通話相手として、同じイラストを趣味とするSNSのフォロワーとして、意見を交わしてきたニシキさん。  彼か、彼女かも、よく知らないニシキさん。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加