0人が本棚に入れています
本棚に追加
『こんにちは』
「こんにちは、ニシキさん」
『まーちゃんどうしたの? 高校休み?』
「あー……」
私が平日の昼間。本来なら授業を受けている時間に家にいるのは、両親の離婚騒動が原因だ。
どうしようかな。しばらく考えてから、私は言う。
「ニシキ、さん」
『うん、どったの?』
「ちょっと話しても、いいですか」
『いいよー。なに、家の話?』
ずばりと投げ込まれた言葉に、私は、えーっと、と言葉に詰まる。
画面の向こう。ニシキヘビのイラストアイコンのかなた。顔も知らないけど、もう五年もこうして通話相手として、同じイラストを趣味とするSNSのフォロワーとして、意見を交わしてきたニシキさん。
彼か、彼女かも、よく知らないニシキさん。
最初のコメントを投稿しよう!