おかしなお別れ

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 *** 「どうも。一週間振りですね」  その日、俺が駅前の待ち合わせ場所に着くと、既に他のメンバーは揃っていた。江崎さん、金さん、メイ。 「お疲れ様、ロットくん。ちょうど今、ハイPの文句言ってたとこ」 「ハイPちゃんは悪くないっすよ江崎さん! おめでたい話じゃないすか」 「ハイハイ。『金の天使を探してます』くんはブレないね」 「フルで呼ぶのはやめてください!」 「でも一般の消費者的には、散々思わせ振りなこと言っといてこれはないでしょ?」  江崎さんが俺にスマホを向ける。ハイPのSNS――。 《このたびハイPは、アルビー全体の公式マスコットに任命されました✨  これからもよろしくね😆》  敬礼するハイPの写真がついたこの投稿は、俺も五日前に見た。その前までのお別れムードのつぶやきの数々は、ハイパーポテトのキャラではなくなるという意味だったらしい。そんな、アルビー社のさよなら詐欺にまんまと乗せられ、別れを惜しんでいたネットユーザー達の怒りはすさまじく、ハイPやアルビー公式のSNSは今大変な炎上騒ぎになっていた。  俺はフッと皮肉っぽく笑って言った。 「俺も最初は『は?』って思いましたけど、公式は嘘は言ってないんですよね。まあ、よかったじゃないですか」  まあね、と江崎さんが渋々同意する。 「でも私、この騒動で体重2キロ増えちゃいました……」 「メイさんドンマイ。営業で外回りしてた俺に隙はなかった」  ずるいです、という抗議の声を聞き流して、俺は咳払いした。 「じゃ、そろそろ、ハイPの出世をお祝いする会? の買い出しに行きますか」  向かうのはドラッグストアだ。ハイPなしのパッケージにリニューアルしたハイパーポテトが、変わらぬ味で待っている。  
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