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翌日、学校に行く気分でもなかったが、理玖に嘘をつきたくなかったので、登校することにした。出かけようとしていたところに、あせった様子のスタッフから電話がかかってきた。
『理玖さんが厨房に籠城して出てこないんだよ。撮影に行かなきゃいけないのに、鍵かけちゃってるし、声かけても返事してくれないし』
「まさか、中で倒れてるんじゃ」
『それはない。ひたすら料理してるみたい。奥さんとは連絡とれなくて。春ちゃん、早く来て、なんとかしてよ』
「すぐ行きます!」
『来るな!』
突然、電話の相手が勇人に代わった。
『おまえが来たところで、どうにもならないんだから、絶対来るなよ。わかったな!』
勇人に一方的に電話を切られてしまった。
確かに、自分が駆けつけたところで、理玖を動かす力があるわけじゃない。
でも、思い返せば、昨日理玖から電話があったとき、どこか落ち込んだような声をしていた。
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