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理玖が優佳と付き合い始めたのは半年前だが、実はそれほどかからず、理玖は優佳に本気になり、同時に不安になり始めた。事務所のスタッフが気付かなかったのは、いち早く察知した春が、優佳について回って理玖に彼女の様子を教えていたので、仕事に支障をきたすことがなかったからだった。
はじめのうち、自分のまわりをうろつく春に驚いていた優佳だったが、基本的に自分を含め周囲に迷惑をかけるわけでもないし、いつのまにか優佳の考えを先回りして気をきかせるようにもなっていたため、理玖がそれで安心するならと春を受け入れていた。
今日、春が優佳に会いに仕事場を訪れたときは、優佳の同僚たちは「このところ来なかったね」などと言いながら、こころよく優佳がいるところまで案内してくれた。
優佳は不機嫌そうな悲しそうな顔をしていた。心配した春がどうしたのかと聞くと、理玖から自分との仕事以外は受けないでほしいと突然言われ、ケンカして家を飛び出してきたのだ、と話しだした。
「理玖がこういう人だってわかってたはずなのに、どうして結婚なんかしちゃったんだろう」
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