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小学生の春が衝撃で動けなくなるほど、当時から理玖の男前は際立っており、いまに至るまで、理玖が恋人にする女性は、そろいもそろってスタイル抜群のモデルみたいな美女だった。いつも可愛がってくれたし、わがままも聞いてくれたが、それはあくまで「妹」に対する態度であって、女性としては自分がまったく理玖の好みではないことをいやでも認識させられた。
それでもただ理玖に喜んでほしい一心で、自分が彼のためにできることを精一杯してきた。
理玖は意外に話好きなので、春はいつどんなときも話し相手になろうと心がけてきた。
また、理玖が料理研究家になる前から、理玖が作る料理は何でも食べたし、中学生になると、材料やら調理方法やらを記録した。
さらに、理玖が恋人のことが気になって仕事が手につかないときは、少しでも安心してもらうために、自ら理玖の恋人について回って、逐一報告した。
おかげで、こんな体形になってしまったし、学業がおろそかになって勉強が不得意になってしまったが、後悔はしていない。
恋人にはなれないとよくわかっているはずなのに、理玖が結婚してしまったということにこれほど衝撃を受けるとは自分でも予想外だった。
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