初恋

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初恋

俺と月島 鳴海(つきしまなるみ)の出会いは高校2年・・・・・同じクラスになって目が合った瞬間恋に落ちた。 お互い一目惚れだった。 出会うのが運命だったかのように、惹かれ合い名前を呼ばれるたびに、潤んだ目で見つめ合った。 そしてすぐに誰もいない美術室で始めてのキスをした。 橘 碧(たちばなあおい)人生始めてのキスも生まれて初めての恋も、すべての始まりは月島 鳴海(つきしまなるみ)だった。 男同士であることなど眼中になく、一緒に居る事が当然だった。 大学に入学するのを機に当然のように同棲を始めた。 お互いが好きでたまらなかった………こんなに人を好きになるなど、自分でも驚くくらい相手を求め、男同士の営みに夢中だった。 半日も離れていられない、触れたてキスしたくて抱きしめたくて身体中が疼くような感覚だった。 夜は当然のように激しく求め合い、相手が意識を失っても終わる事無く求め合った。 胸が苦しくなるほど切なく、手を離せばどこかへ消えてしまいそうな不安に囚われていた。 いつか目の前から消えてしまう、二度と逢えなくなる………そんな不安がいつもどこかにあった。 それは青春の危うい不安と焦りだったのだろうか? 何度愛し合っても激しく繋がってもいつもその不安は消えることはなかった・・・・・・ それでもこんな毎日が続くと当前のように思っていた。 そんな生活が1年過ぎ2年過ぎ3年の後半になった頃、お互い真剣に将来のことを見据える時期になった。 俺は金融関係を目指しあいつはキャリア官僚を目指した。 公務員試験の為の特別講習に通い、終わった後も同じ仲間達と語り合い帰りはいつも遅かった。 当然俺も会社訪問や先輩達を訪ね、夜は食事に誘われて帰るという日が続いた! まだ学生で自立していない自分たちにとって、一緒にいる事の未来への不安、 仕事を決め人生の決断をするという毎日が俺たちを攻め立てた。 お互いに気持ちに余裕はなくなり、就職が決まらなければ大学へ行った意味も無くなると焦った。 話す時間も共通の話題も無く、同じベットに寝ても背中を向けて寝る事が多くなった。 肉体的にも精神的にも余裕がなくなっていた。 それぞれの時間に起き学校へ行き、帰りもバラバラで食事も別々に食べる日が続いた。 同じ部屋に居ながら気持ちは遠く離れていた。 同じものを食べ同じ空間で時間を過ごした日々は想い出となった。
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