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別れ
寝に帰るだけのこの部屋で心も身体も離れていた。
喧嘩をしたわけでも言い争いをしたわけでもなく、一緒に居ても話すこともなく、いつしか一緒にいることが居た堪れなくなっていた。
どちらからともなく適当な理由をつけて部屋を留守にした。
それでもその時はまだ、離れると逢いたい気持ちがあった。
だが顔を合わせても話すことが見つからず、二人の間に重い空気が流れた。
そんな関係を認める勇気もなく、次第に相手を避けた。
そんな日々が半年ほど続いて、4年生の秋にあいつが部屋を出た。
秋の夕陽がオレンジ色に染まり、一人の部屋に西日が差し込んだ。
二人で暮らした部屋はガランとなり、広い空間だけが寂しさを募らせた。
そして2か月後に俺もこの部屋から引っ越した。
お互い引っ越し先を告げることもなくそれ以降会うことはなかった。
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