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あいつと俺と
タクシーに背を預け目を閉じあいつを思い浮かべる・・・・・・あの頃の眩しいくらいに輝いていた俺達。
毎日が楽しく充実していた・・・・・・朝起きてあいつの顔を見て頬に触ってキスをした。
僅かな時間も一緒に居たかった、ランチも待ち合わせて食べた・・・・・・授業が終わって夕食の買い物をする・・・・・部屋へ戻ってキスをして・・・・・・食事の支度も片づけもずっと離れず一緒だった。
狭い風呂で抱き合ってキスをした・・・・・・
いつの間にか涙が溢れていた・・・・・・全ての想い出が鮮明によみがえる・・・・・溢れる涙を拭うこともなく、漏れる嗚咽を喉の奥で引き留めた・・・・・・
タクシーを降りエレベーターに乗り込み声を殺して泣いた‥‥…あの日のあいつと俺・・・・・・紛れもない青春だった・・・・・
部屋へ戻ってシャワーを浴びた・・・・・・ゆうべからの記憶をたどる。
ベッドで時間を見てあいつからの電話を待った。
眼を閉じ睡魔に任せて横になる、目が覚めスマートフォンを見た。
あいつからの着信はなかった・・・・・・
寝室を出てキッチンでパンとコーヒーを入れる・・・・・・
カップを持ってコーヒーを飲む、その時スマートフォンが着信を告げた。
「・・・・起きたか?」
「碧・・・・・・逢いたい・・・・・」
「わかった、すぐ行く・・・・・」
飲みかけのコーヒーを置いて、外へ出た。
タクシーに乗ると鳴海の住所を告げる。
鳴海の待つマンションへ向かった。
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