あいつと俺と

1/1
53人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

あいつと俺と

タクシーに背を預け目を閉じあいつを思い浮かべる・・・・・・あの頃の眩しいくらいに輝いていた俺達。 毎日が楽しく充実していた・・・・・・朝起きてあいつの顔を見て頬に触ってキスをした。 僅かな時間も一緒に居たかった、ランチも待ち合わせて食べた・・・・・・授業が終わって夕食の買い物をする・・・・・部屋へ戻ってキスをして・・・・・・食事の支度も片づけもずっと離れず一緒だった。 狭い風呂で抱き合ってキスをした・・・・・・ いつの間にか涙が溢れていた・・・・・・全ての想い出が鮮明によみがえる・・・・・溢れる涙を拭うこともなく、漏れる嗚咽を喉の奥で引き留めた・・・・・・ タクシーを降りエレベーターに乗り込み声を殺して泣いた‥‥…あの日のあいつと俺・・・・・・紛れもない青春だった・・・・・ 部屋へ戻ってシャワーを浴びた・・・・・・ゆうべからの記憶をたどる。 ベッドで時間を見てあいつからの電話を待った。 眼を閉じ睡魔に任せて横になる、目が覚めスマートフォンを見た。 あいつからの着信はなかった・・・・・・ 寝室を出てキッチンでパンとコーヒーを入れる・・・・・・ カップを持ってコーヒーを飲む、その時スマートフォンが着信を告げた。 「・・・・起きたか?」 「碧・・・・・・逢いたい・・・・・」 「わかった、すぐ行く・・・・・」 飲みかけのコーヒーを置いて、外へ出た。 タクシーに乗ると鳴海の住所を告げる。 鳴海の待つマンションへ向かった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!