1人が本棚に入れています
本棚に追加
私の家には猫がいる。
名前はロマ
ある日勝手に入ってきて、家のソファーにずっと居座っている。
今日も一日中ずっとソファーの上だ。
---次の日、彼氏が死んだ。
ずっと愛していた。
だが不慮の事故により、簡単に死んでしまった。
私の彼氏に対する愛は大きなものだったが、その愛は何の役にも立たなかったみたいだ。
ずっと泣いた。
その日はずっとソファーで泣いた。
猫の温もりは少し癒やしになった。
---彼氏が死んだ翌日。
猫は居なくなっていた。
部屋のどこを探しても見つからない。
外に出る。
こんなシチュエーションにも関わらず、外は元気に晴れている。
そして探しに探しまくって、ようやく見つかった。
ロマの姿。
しかしそれは変わり果てていた。
猫もまた不慮の事故に襲われてしまったのか、カラスが倒れた猫の体を突いていた。
私は慌ててカラスを追い払う。
「…っ!」
ピンクの内蔵が抉り出されている。
もう完全に助からないだろう。
私はかなりのショックを受けた。
その日は力が抜けている猫を抱き抱えて家に帰った。
---次の日。
心の拠り所は、もうどこにもない。
友人も無い。
家族ももう死んだ。
「…私ももう、死のうかな」
私は元々医者から保証されていた睡眠薬を大量に口に含んだ。
包丁よりは苦しみはマシだろう。
もちろん今も充分苦しいので、もうあまり感じないだろうが、包丁は本能的に無理な気がした。
1分後、視界がぐらついた。
随分効き目が早い気がする。
まぁきっと死神が次は私を呼んでいるのだろう。
私の意識は、そこで途絶え、私の命もそこで終わった。
「にゃ〜お」
後ろから聞き慣れた猫の声が聞こえる。
「ロマ…?」
振り返ると、そこには死んだはずのロマがちょこんと座っていた。
「そう、私、天国にきたんだ…」
ロマに会えたことの嬉しさにより、疲れは半分ふきとんだ。
だが世界からのサプライズはそれだけではなかった。
「天国じゃ無いよ。瑜皆」
死角から肩を叩かれる。
「雨時…?」
彼の体に飛びつく。
もう半分の疲れも吹き飛んだ。
もう泣きそうだ。
いや、もう泣いている。
彼も私の後ろに手を回して抱きしめた。
そして彼は続ける。
「ここは別世界さ。神様が不幸な俺達を飛ばしてくれたんだ」
神様か、
「…そうなのね」
死神の存在さえ疑っていた私だ。
こんな状況になって、神様が関わっていないなんてことはあり得ないだろうとは思った。
私はすぐに状況を飲み込んだ。
「瑜皆、ずっと1人にしてごめん…これからは、ずっと一緒にいよう」
「うん…。ずっと一緒にいて」
私は彼の胸に顔をうずめて彼にそう言った。
少し恥ずかしいが、心からの本心だ。
「ロマも、ずっと一緒にいような?」
「にゃ〜」
「みんな、この世界でも、どうぞ宜しくね」
最初のコメントを投稿しよう!