どうぞ宜しく。

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私の家には猫がいる。 名前はロマ ある日勝手に入ってきて、家のソファーにずっと居座っている。 今日も一日中ずっとソファーの上だ。 ---次の日、彼氏が死んだ。 ずっと愛していた。 だが不慮の事故により、簡単に死んでしまった。 私の彼氏に対する愛は大きなものだったが、その愛は何の役にも立たなかったみたいだ。 ずっと泣いた。 その日はずっとソファーで泣いた。 猫の温もりは少し癒やしになった。 ---彼氏が死んだ翌日。 猫は居なくなっていた。 部屋のどこを探しても見つからない。 外に出る。 こんなシチュエーションにも関わらず、外は元気に晴れている。 そして探しに探しまくって、ようやく見つかった。 ロマの姿。 しかしそれは変わり果てていた。 猫もまた不慮の事故に襲われてしまったのか、カラスが倒れた猫の体を突いていた。 私は慌ててカラスを追い払う。 「…っ!」 ピンクの内蔵が抉り出されている。 もう完全に助からないだろう。 私はかなりのショックを受けた。 その日は力が抜けている猫を抱き抱えて家に帰った。 ---次の日。 心の拠り所は、もうどこにもない。 友人も無い。 家族ももう死んだ。 「…私ももう、死のうかな」 私は元々医者から保証されていた睡眠薬を大量に口に含んだ。 包丁よりは苦しみはマシだろう。 もちろん今も充分苦しいので、もうあまり感じないだろうが、包丁は本能的に無理な気がした。 1分後、視界がぐらついた。 随分効き目が早い気がする。 まぁきっと死神が次は私を呼んでいるのだろう。 私の意識は、そこで途絶え、私の命もそこで終わった。 「にゃ〜お」 後ろから聞き慣れた猫の声が聞こえる。 「ロマ…?」 振り返ると、そこには死んだはずのロマがちょこんと座っていた。 「そう、私、天国にきたんだ…」 ロマに会えたことの嬉しさにより、疲れは半分ふきとんだ。 だが世界からのサプライズはそれだけではなかった。 「天国じゃ無いよ。瑜皆(ゆみな)」 死角から肩を叩かれる。 「雨時(あまと)…?」 彼の体に飛びつく。 もう半分の疲れも吹き飛んだ。 もう泣きそうだ。 いや、もう泣いている。 彼も私の後ろに手を回して抱きしめた。 そして彼は続ける。 「ここは別世界さ。神様が不幸な俺達を飛ばしてくれたんだ」 神様か、 「…そうなのね」 死神の存在さえ疑っていた私だ。 こんな状況になって、神様が関わっていないなんてことはあり得ないだろうとは思った。 私はすぐに状況を飲み込んだ。 「瑜皆、ずっと1人にしてごめん…これからは、ずっと一緒にいよう」 「うん…。ずっと一緒にいて」 私は彼の胸に顔をうずめて彼にそう言った。 少し恥ずかしいが、心からの本心だ。 「ロマも、ずっと一緒にいような?」 「にゃ〜」 「みんな、この世界でも、どうぞ宜しくね」
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