俺とAIネコ

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 俺の名前は乃村銀太朗(のむら ぎんたろう)、23。 両親はいない。顔も知らない。 友達は早いやつは結婚したり、仕事が忙しかったりであまり会えていない。 というより、俺自身があまり連絡を取らなくなった。 仕事はバイトを幾つか掛け持ちしながら暮らしている。ほかのやつみたいにやりたいことが明確に掴めない。 そんなある日のバイト帰りだった。 アパートの前にAIネコがいた。 色は銀色で目は青。 こんなところに、なぜ? 生きてる? そっと頭を触ったら固く冷たい。 ま、AIネコだしな。 《ハジメマシテ》 それが最初に話した言葉だ。 「お、喋った。すげー。どーも」 段ボールに入っているしすてられた? なんとなくこのままなのも、と思い段ボールごとアパートに運んだ。 アパートはペット可だから大丈夫だけどこのAIネコ、テレビとかで見たことあるが直接見るのは初めてだ。 正直どう扱っていいのか。 しかも、銀色だ。 確か俺が見たのは全部、白だったように記憶している。 俺は恐る恐るボディチェックをしたがスイッチみたいなのはない(たぶん) で?飯とかトイレとかは? 段ボールの中には説明書はなく、俺はネットで調べてみたが銀色のAIネコのことは記載がない。 なら、やはり本人(ネコ)に聞いてみるしかないか。 「あのさ、名前とかあんの?」 《ナマエハナイデス》 「ないか。じゃ、なに食うの?」 《オシャベリガゴハンデス》 「え!?お喋りがご飯?俺、あんまり得意じゃないしな。あ、雄とか雌とかは?」 《ナイデス》 「そうか。で、なんで、銀色?」 《・・・ワカリマセン》 「そうか。ま、そうだよな。 じゃぁ、うん、名前な~。 俺は銀太朗、乃村銀太朗。で、お前は~銀だから、シルバー?ダメ?普通?」 俺がAIネコに名前を付けると、AIネコは俺の足元に来てスリスリした。 気に入ったのか?いいのか? 名前を付けたからには一緒にいないとだよな。 出会ってまだ1時間もないが、なんだがこいつをほっとけない。 俺はもう一度AIネコ、シルバーの頭をそっと触った。 嬉しそう? それに、さっきよりも温かく感じた。 気のせいかな?
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