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 1 斉木  斉木徹(さいきとおる)が、道永(みちなが)と二人きりで会うのは今回が初めてだった。高校時代、他の友人たちを挟んでファミレスくらいは行ったことがある。それだって、一度か二度の出来事だ。  そもそもクラスも部活もちがう二人には共通点は極めて少なかった。同じ高校に通っていること、下校途中に「メシ食ってから帰ろうぜ」と寄り道を唆す悪友がいたことくらいだろう。廊下ですれ違っても互いに気づかないふりをしていた。元々相性がいいとは思えない。  同級生の道永雅史(みちながまさふみ)は、大手の道永建設の社長令息だ。裕福な家庭に育った彼は、典型的な「ボンボン」だった。何事かあれば、極力金の力で穏便に収めようとする。チンピラにからまれたときも、気に入った女子生徒を間接的に呼び出してもらうときですら金を使ったという専らの噂だった。
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