1人が本棚に入れています
本棚に追加
教室の隅で、そうめんを食べる少女がひとり。それを心優しい友人たちが心配そうに見守っていた。
「ありがとう、ユウ、ジン。いつも心配かけてごめんね、ユウ。
ジンも闇の組織の一員みたいな名前なのに、気遣ってくれてありがとう……」
金梨じみ子は、めんつゆに浸したそうめんをすすりながら、ふたりの友人に微笑みかけた。
クラスメイトたちはみな、貧乏生活を送るじみ子を不憫に思い、とても親切にしてくれている。
――ただひとり、財前杏華を除いては。
「あーら、じみ子さん! よく飽きもせず貧乏飯をお喰らいになられてますわね!
わたくしなんて、セバスチャンが毎日毎日、三段積みのお弁当に高級食材てんこもりでしてよー! おーっほっほっほ!!」
その声がする隣の席にじみ子と友人たちが目をやると、杏華の豪華なお弁当が燦燦と輝いていた。
そこには、伊勢海老のてんぷらやフォアグラのソテー、黒毛和牛のステーキなどが入っていた。
「……そっちは栄養バランス悪そうだね、杏華ちゃん」
「はあ? それを言うなら、そうめんなんてほとんど炭水化物のかたまりですわよ!」
最初のコメントを投稿しよう!