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売り言葉に買い言葉で、意外にもじみ子は杏華に対して強気であった。それに友人たちも加勢する。
「ちょっと杏華さん! いくらじみ子と幼馴染だからって、毎日毎日ちょっかいかけるのやめてもらえる!?」
「そうよそうよ、じみ子がかわいそうでしょ!?」
だが、杏華はそんな言葉も意に介さずといった様子で高笑いをした。
「ほーほっほ、貧乏人の貧乏飯を嘲笑って、何が悪いと言うんですの!?
悔しかったら、わたくしのようなお金持ちにおなりあそばせ!」
「でも、そんなに食べたら太るよ?」
「………!! ……………………っ!!!」
「あ、杏華さんにクリーンヒットした」
「そう言えば、この前健康診断があったばかりだよね……」
じみ子の鋭い言葉の刃に貫かれ、杏華は黙り込んでしまった。
どうやら体重の話題は、杏華にとっては禁則事項だったらしい。
そんな淀んだ空気の教室に、黒服の男が飛び込んでくる。
「大変です、お嬢様! こんなことを言うのは、どうにも口が重いのですが……!」
「誰が重いですって!? ほんの2kg、大物に近付いただけですわ!」
「は……? し、失礼しました……!?」
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