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「どうして、あなたはわたくしに親切にしてくださいますの……?
いつも意地悪なことばかり言ってきたのに……」
「そんなの当たり前じゃん。だって、私たち、小学生の頃からずっとお友達なんだから」
「……でも、わたくしはもうお金持ちですらない、ただの嫌味な女の子ですのよ?
あなたに与えられるものなんて、何も――」
そこで、じみ子は杏華の唇にそっと人差し指を当てた。
「もう忘れちゃった? 私がクラスの男の子たちにいじめられていたとき、杏華ちゃんが助けてくれたこと。
それから私たちはどこへ行くのも一緒の、大切なお友達になったこと。
大事なのはお金じゃないよ。私たちの絆はもっともっと深いところに刻まれているんだから」
「じみ子……」
そうして、ふたりは手を取り見つめ合うと、出会った頃のように純粋な瞳で笑い合ったのだ……。
そして、その翌日――、
「ねえ、聞いて、杏華ちゃん!! 宝くじで3億円当たった!!
うひょぉおおおおおぉおお、これで貧乏生活ともおさらば!!
世の中やっぱりお金だぁあああああああああぁあ!!!!!」
「んなーーーっ!!???」
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