それでも君がいい

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 これ程までに屑な女に、私は出会ったことがない。   ── 待ち合わせには必ず遅れるし、それに対して悪びれる様子もない。    金遣いも荒けりゃ人遣いも悪い。  男癖も悪くて二股なんて当たり前。  顔が良い男をひっかけて振り回して飽きたら捨て、めんどくさくなったら捨て。  そのくせ、被害者面するもんだから本当に意味が分からない。  自分にかまってくれて自分を好きな男なら誰でもいい、自分大好き自己中野郎。  最低最悪の屑女。 ┄┄ とにかく他人に興味がなさすぎる。  疑ってばっかだし適当なことしか言わないし、相手を理屈と屁理屈で追い詰めて楽しんやがる。  病んでる人間やらイカれた人間やらを観察するのが好きとかいう、いいご趣味を持っていらっしゃる。  極端なまでに人を遠ざけるし、進学する度に友達を切っていく。家族ですら嫌なんだと。  親族が死んでも涙のひとつ流しやしない。  冷徹無慈悲な屑女。 「「でも知ってる。」」 ── 本当はそんな自分が大嫌いなことを。 ┄┄ 本当は人一倍優しいことを。 ── 捨てられるのが怖くて強がっていることを。 ┄┄ 大切な人を失いたくないからあえて作らないことを。 ── ひとりの人間と愛し合いたいことを。 ┄┄ 周りの人達を大事にしたいことを。   ─┄─┄─┄─┄─┄─┄─┄─┄    心の奥で泣いていることを。  寂しがっていることを。  自己嫌悪で今にも壊れてしまいそうな心を必死に隠そうとしていることを。  私は知っている。  そんなあいつが、素直になれない不器用で屑なあいつが私は大好きだ。  だから私は…私達は今日も同じグラスを交わす。  同じ未来を見る。 「「これからもよろしくな、屑女!」」
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