マージェン

　――“クズ、死ね、地獄に落ちろ、苦しめ、両足を別々のロープで縛られて二頭の馬に別々に引っ張られて死んでしまえ。お前なんか股裂きだ”

　彼女が叫んだ。
　「足りないよ」
　「はいはい」

　マージェンはロールペーパーをどんどんほどいた。彼女は罵詈雑言を書き続ける。ペーパーはどんどん長くなっていった。彼女は次第にべそをかきはじめた。魔術師は次に彼女に立つように言って、大量の陶器の平皿を用意した。

　「次の注文です。割ってください。海底ですが陸の重力を用意いたしましょう。しかし重力があると陶器の破片が飛びます。あなたにはゴーグルをしていただきます。割る時は“つまんない男だった” と言って下さい。私も重力向きの格好になりましょう」

　マージェンは指をはじいた。彼女と同じ二本足になる。次に指をはじくと、彼と彼女にも、ずしんと自重がかかった。確かに海底だが、もう髪も服も水になびかない。
彼からゴーグルを借りると、彼女は皿をたたき割り始めた。

　「つまんない男だった！　つまんない男だった！」