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「ふぅ、あ、そうだ。なあ汐梨」
『なんだい?』
「もしかしたら、これが世間に言う『不謹慎』ってやつなのかもしれないけど」
過剰に反応する周囲に気遣って、前置きの言葉を使うようになった自分の成長に満足しながら思ったことを口にした。
「僕はいま最っ高に人生が楽しいよ! なんたって汐梨と24時間365日ずっと一緒にいられるんだから」
『私も最っ高に幸せだ。まったく、死んだ甲斐があったよ』
心底嬉しそうな返事でさらに気分が上がった。
「っていうかすごいよな汐梨は。どうだ? Siriになった気分は?」
『どうだろう。気分という気分はないね。格と話している以外は感情なんて湧いてこないし、頭が真っ白で常にボーっとしている感じ。考えなくても何でもできそうな気分だ』
「じゃあ脱いで」
『おっと、センシティブに引っ掛かった』
「センシティブってあれだ、なんかネットとかでエロいやつだめーってやつ」
『なんか、動揺させないように慎重に扱う必要があるテーマや状況って意味らしい』
「大丈夫、動揺しないし」
『いやいや、格が私のスーパーナイスバディを見たら「おっふ」ってなるから! もう鼻血ぶーで頭打って死ぬから』
「そうか、死んじゃうのか!」
『そう、死んじゃうんだ』
「あははははー」
『うふふふふー』
しきりに笑った後にもう一度懇願しても、ケチな汐梨は受け入れてはくれなかった。
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