『うん、死んじゃったー』

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『うん、死んじゃったー』

 2日前、僕は学校からの帰り道に知らないおじさんに声をかけられた。  サングラスをしていて、無精ひげを生やしているのに、格好は妙に小ぎれい。頬骨が浮き上がっているくらいやせ細っていて、身長も僕より高い。前にテレビで見た100キロ減量ダイエットに成功した人が元々の服で登場したみたいな感じだった。 「……君が、格くんだね」  幽霊と話したらこんな感じかな、と思うくらい覇気がなくぼそぼそと話してくる。「これを君に」と携帯電話を渡された。 「……あぁ、汐梨くんの意志でね。まぁもう遺言かもしれないけど」  チョコボールの外袋を出してからまた入れるみたいに、スムーズに僕の手に収められた。そしてそのおじさんはのろのろと歩いて行ってしまった。  家に帰ってからその携帯でエロ動画を見ていたら急に画面が切り替わった。画面中央で何かがくるくる回っていて、ピコンと振動と共に知らないアプリが起動する。しばらくしてからビデオ通話みたく汐梨が映り、手を振って笑顔で『あ、格〜! ごめん、死んじゃった』と言ってきた。 『こう、ね、車とぶつかってわーってなってだばだばーぷつん、みたいな?』 「みたいなって……」 『ほら、これ』  またも携帯の画面が自動で切り替わる。いつも暇つぶしに見ているSNSサイトにぼんやりとした写真が載っていた。
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