「だから僕も悲しめってか?」

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 気が付くと僕はベッドに寝転がっていた。鼻になにか詰まっていて呼吸がしづらい。それに喉もからからで少しだけちくりと痛かった。 『……ねぇ』  枕もとには携帯が置いてあった。あのおじさんから押し付けられたものだ。声の主はもう確認しなくてもわかるくらい聞いてきた。 「なんだ?」 『私は今この瞬間、これほど自分のことを不謹慎なやつだと思ったことがないんだけどね』 「おう」 『私の死を悲しんで、格に八つ当たりでバチボコにいじめてるの、ちょー見てて気持ちいい』  きっと画面の中では悶えているのだろう。震えた声なのは興奮しているから。見なくても想像できるくらい汐梨検定上級者の僕だった。 「おい、それは不公平だ」 『何が?』 「僕も気持ちよくなりたい」 『すでに格は気持ちよくなってる』 「なに、某アニメ有名なセリフの真似?」 『違うよ、よく考えてみて。私と常にいられるのって格だけなんだよ? 他の人はもう私とは会えない。どう? 優越感バリバリで気持ち良くない?』 「たしかに! そう考えると気持ち良くなってきた。優越感きもちぃー」  息を吐ききるまで伸ばしてから息を吸う。軽くせき込んでいるとガラッとドアが開く音がして保健の先生が視界に入った。
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