『その方が盛り上がるからじゃない?』

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『うむぼれでは決してないんだけど』 「汐梨に似てるやつ中心に見てた」 『やっぱりぃ?』  友情と性欲の狭間で見出した妥協案こそが、汐梨に似ている人を探し出す、だった。見つけた人のは更新頻度こそ少ないが、中々に見返しがいのある濃厚なものが多くて大変助かっていた。 「それにしてもすごいな、ネットの情報を掌握してるようなもんじゃん」 『でもさ、ちょっと困ってることもあってね』 「困ること?」 『アニメとか漫画のネタバレが頭の中に入ってくるから最悪。だから格も道連れね』 「やめろ!」 『えーっとね』と僕の抗議を無視して何々の誰誰が死にますとか、誰と誰が結ばれますとか単行本派の僕の時空をゆがめてくる。 『そしてなんと、裏切られて死んじゃいます』 「いや、作者殺しすぎだろ」 『その方が盛り上がるからじゃない?』 「確かに熱い展開になるけどもさ」  ねーっと笑いあっていたとき、部屋のドアがノックされて「ねぇ格」と母の声が聞こえてきた。 「なに?」  そのまま携帯をポケットに入れて部屋のドアに向かう。ドアノブに手をかけたところで、もしかして携帯をポケットに入れるということは汐梨は今僕の「明日、汐梨ちゃんのお葬式だから」……え?
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