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一通りの手続きを終えた私は“任務”について、二人に尋ねることにした。とは言え、大体の見当はついている。恐らく、ここでの任務は“残骸の処理”。
呼び方は違えど、騎士団や傭兵が“国務平和維持依頼”として引き受けている物と同様だろう。
「任務について、か……。大体はギルド側で選別された危険区域の安全確保がメインかな。これまでの実績によって、ギルド内のランクが上がるとより高難易度で高報酬の任務が受けられるようになるよ。高難易度になればなるほどリスクがつくけど、低難易度のものなら危険はほとんどないかな。弱い残骸の数だけが多かったり、僻地(へきち)にあったりして国務依頼にしずらい物が大半だから」
「やりやすい任務は国務依頼の方に取られてるんだね」
「そう。面倒な物がこっちに回されてるって感じ。あとは普通じゃ手に負えない物だけど……まだ、わたし達が手を出すには危なすぎるから」
彼女は俯きがちにそう言うと、さっと話題を変えた。
「ところで、ルナさんは武術経験ってあるの?……攻撃系の能力者がいるチームだったらあんまり必要ないんだけど、生憎私達攻撃手段は持ち合わせていないって言うか……自分で戦った上にサポートとして能力を使う、って感じだから……」
「武術なら多少は出来るつもりだよ!私、お父さんが傭兵だから昔から一応習ってはいたし!」
「ま、まじか!オレより優秀だったらどうしよー」
シュウヤくんは「オレも自信はあるけど」と付け足してから言い訳らしき言葉をつらつらと並べている。もしかしたらそこまで自信が無いのかもしれない、なんて思った時彼女の口から飛び出した言葉でその考えも改まった。
「近距離だけならピカイチの才能だから比べる対象が違う、と思うよ。何と言うか……計り知れない強さって感じかな」
「えっ?もしかして、ハルちゃんオレのこと認めてたの!?」
「近距離だけは、ね」
「だけ」を強調した言い方ではあったが、シュウヤくんは近距離戦での戦力はお墨付きらしい。かといって、ハルカちゃんが戦闘が得意そうにも見えないのだが、その辺りはどうなっているのか気になるものだ。
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