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まさか目の前に二人も特別な人間がいて、「お前もその一人だ」なんてそう簡単に信じられるわけが────
なくもなかった。
理由は簡単、面白そうだったからだ。退屈していた世界が色を取り戻す予感がしたから私は彼らの言葉を信じてみたかった。
そんな単純な理由で私は摩訶不思議な話を受け入れた。
故郷では変わり者と呼ばれていた私だ。変わり者だらけのこの都市でも対等に渡り合えるのではないか、なんて少し思ってしまった。
「よろしくね。……ところで、私は何の能力を持ってるの?」
私が彼らに尋ねると二人はきょとんとした表情で顔を見合わせた。先程まで対立していた二人であっただけに、なかなかコミカルな絵面だ。息が合うんだねとでも言ってしまえば、瞬く間にハルカちゃんの瞳から光が失われてしまうだろうと思い、辞めておいた。
「まさか、汝──。己の能力を知らずに使いこなしているのか?なかなか面白い奴だ」
「しょ、召喚系の能力って感じもしなかったよね。テレパシー系だったら流石に自分で気がつきそうだし……」
どうやらイレギュラーな私の存在をただただ面白がっている少年と深刻そうな表情で悩む少女。対極的な二人の様子になんだか少し面白くなった。彼らは仲が悪いわけでもなく、ただの友達と言う訳でもない──もっと、互いにとって深い意味を持つ存在同士なのかもしれない。私は出会ってから数分ながらにそう感じていた。
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