ロボット家族 〜ママの秘密〜

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『ご遺体を出来るだけ冷蔵状態で早くお持ち込みください』  私はキャリーケースにチロと保冷剤を詰め込み、恩田社へ車で持ち込み、預けた。  4〜5日かかるというので、美和にはチロが熱中症で入院したと伝えた。  出来上がりの連絡を受けたので恩田社へ向かった。  応接室へ通されると、ソファに『チロ』がいた。  私を見て、嬉しそうに尻尾を振っている。  ―――確かにチロだ。  姿・形だけで無く、チロの記憶も『チロ』に引き継いだという。  死んだチロの脳に電気信号を送り、脳が記憶する膨大な情報を電子情報へ変換する。その電子情報が記憶装置という電子部品に収められているらしい。  移行する記憶が一部欠損する事もあるが、搭載されたAIが持っている記憶とその時の状況を判断して対応するので問題は無いという。
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