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夕夏さんは「じゃあ、ご馳走になります」と言って、メニューからいろいろ頼んだ。
尾行中なので、二人とも飲み物はノンアルのカクテルにした。
「なんか、居酒屋って久しぶり」
わくわくとした表情を浮かべる夕夏さんが可愛い。
「亮くんは塾の先生とかと飲みに行くの?」
来たばかりの大根サラダを夕夏さんが取り分けながら言った。
「偶に行くぐらいです」
「ふーん。あ、塾の受付の子、亮くんに気があるよね」
僕の前に取り分けた大根サラダのお皿を置き、夕夏さんが興味深そうな瞳を向けてくる。
「いきなりなんですか」
「亮くん、気づいているのかなと思ってさ」
受付の中山さんの顔が浮かんだ。
彼女からは夏合宿の時に告白された。当然、断ったが。
「亮くんってさ、そういうの鈍感そうだから」
カクテルを飲んで上機嫌に笑う夕夏さんに、夕夏さんの方が鈍感ですよと言いそうになった。
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