第二章「知らない昨日の続き」

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 ほっぺたをふくらませて、チロルをにらんだ時だった。 「メイ? 誰と話してるの?」 「ママ!!」  わたしの部屋のドアが開いて、ママが顔を出した。  ゴクンとツバをのむ。  ママの視線は、まっすぐにチロルに向かっている。  マズイ、しゃべるネコのこと、ママにどう説明したらいい?  冷や汗がほっぺたをタラリと伝った。 「えっと、この子は……」 「か、かわいい!!」 「へ?」 「どうしたの? この子、拾ってきちゃったの? きゃー、なんてかわいいんでしょ」  チロルの側に近づいて、そっと手を伸ばしたママ。  朝、ヒューガにしたみたいにネコパンチを食らわせたらどうしようと思ったのに、チロルはスリスリとママの手に顔をこすりつけて甘えだす。 「やだ、ママに甘えてくれてる~! この子、どこかで飼われてた子なのかな? 人慣れしてるし、首輪もしてるのね」 「そ、そうかもしれない、ね」 「じゃあ、迷子ネコのポスター作ろうか。この子のこと探してる人がいるかもしれない。それまでは、家であずかって」  よしよしとチロルの頭をなでていたママの動きが、青い光と共に止まってしまう。
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