第二章「知らない昨日の続き」

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「ちょっと、チロル!?」  また時間止めたでしょ、とにらんだら。 「ポスターとか、そういうのは困るんだよなあ」 「なんで?」 「ボクがここにいることに気づかれたくないんだよ。だから、協力して、メイ!」 「はい?」 「ボクはこの家でずっと飼われているネコってことにする。ママさんの記憶も、そう書き換えるから!」  チロルは、ママのおでこにそっと肉球をのっけて。 「ボクはチロル。メイの家で飼われている黒ネコだよ」  その後でまた石が緑色に光る。 「え、っと……。あ、そうだわ、ごめんね、チロル。チロルのおやつとご飯、ママ切らしてたみたい。買い物に行ってくるから、ちょっと待っててね」  ぎゅうっとチロルを一度抱きしめてから「メイ、留守番お願いね」とママが家を出て行った。 「いつから、うちの子なのよ、チロルってば!」 「今日から、だけど。ママさんの中では、もう一年くらい一緒にいることになってると思うよ」 「パパが帰ってきたらビックリするじゃない」 「大丈夫、パパさんの記憶も書き換えておくから」  そういう問題じゃないのに~!  トントントン階段を降りるわたしの足にまとわりつくようにチロルが一緒にくっついてくる。  ソファーに座り、テーブルの上にあるドーナツとジュースに手を伸ばしながら、さっきの話の続きをした。
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