第二章「知らない昨日の続き」

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 不思議なネコ、チロル。  首で光る石も不思議だけど、それよりも。 「ねえ、チロルってなにもの? どうして話せるの? なんで空から落ちてきたの?」 「メイには助けてもらったし、お世話になるし。うん、きちんと説明しとくよ」  チロルがわたしと向き合うために、テーブルの上にジャンプした時、その手がテレビリモコンの電源スイッチに触れた。  突然流れ出したテレビに、わたしもチロルも目を向けた。  そこに映っていたのは白いネコを探すチラシのニュース、今朝マオちゃんが言ってた話だ。  チラシに書かれている電話番号にかけても繋がらないというのに、今日もまたどこからか飛んできているという。 「アイルだ……、アイルが映ってる!」  チロルはジャンプしてテレビの近くに走っていく。 「え? チロルの知り合い?」 「アイルはボクの友達なんだ。ボクは、彼女を探しに未来からやってきたんだよ」 「未来?」 「そう、西暦二千二百年の未来から」  二千二百年? ずっとずっと先の未来。  わたしが見ることのない世界から、チロルとこのネコちゃんはやってきたというの?  チロルの首元についている石がキラリと揺れる。  それはテレビに映る白ネコちゃんと同じものだ。 「ボクらは、ハッピーキャットって呼ばれている半分だけAIのネコなんだ」 「ハッピーキャット?」 「人間を幸せにするために選ばれたネコ、ボクもアイルもね」  さびしそうな顔でテレビの中のアイルちゃんを見つめるチロルは、未来の世界をわたしに教えてくれた。
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