第二章「知らない昨日の続き」

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「ボクらの首輪を作った博士が、望んだんだって。全ての命が元気で愛されますようにって。最初につけられた機能は幸せチャージだけだったらしいよ。飼い主である人間が幸せになるほど、ボクらも元気になるってわけ。ボクらの病気は治ることはないけど、幸せチャージは薬の代わりになるのさ。病院いらずのすごいシステムだと思わない?」  未来のスシテムを語ってくれるチロルは、どこかほこらしげで楽しそう。  確かに、すごいシステムだよね。  わたしが知ってるネコちゃんたちは、病気になると病院に連れて行かなくちゃいけないし。  でも、ネコちゃんが幸せを感じられたら病気を抑えられちゃうなんて。 「あ! だから、無理やりにでもわたしを幸せにしようとした?」 「言っておくけど、無理やりなつもりはなかったよ! だって未来の人間たちは、エネルギー循環のために、ボクらの機能をよろこんで使ってくれたもん」 「エネルギー循環……? ごめん、わかりやすいように説明して」 「博士が亡くなったあと、研究所の人たちが首輪を更に開発したんだって。幸せチャージの他に、時間を止める機能や、人を手助けするチカラをつけてくれたの。人間がボクたちのチカラのおかげで楽になるとするでしょ。笑ってくれて、幸せだって思ってくれたなら、ボクらに幸せがチャージされる。ボクらハッピーペットにとっては、生きるために必要なものだし、余った幸せチャージは研究所に収拾されるのさ。そして人間たちが使う電力エネルギーに変換されるってわけ」
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