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「にゃ、にゃ、にゃーごおおお」
ママの腕を必死で抜け出そうとしているチロルに苦笑いをした。
「だからねえ、ダメなの。チロルは学校には行けないの。今日はママと一緒にお留守番よ。あとでツメ切ってあげますからねえ」
抱かれたまま、ママに右手を持たれて、わたしにバイバイと手を振らされているチロルは怒っているようだ。
本当ならば今日からアイルちゃん探しをしたいだろうに。
「チロル、学校への行き帰りにわたしが探すから」
「メイ? なにを探すの?」
「ん? なんでもない、いってきます! ママ、チロルのことよろしくね!」
「にゃあああああああ」
チロルの悲痛な叫び声が、玄関のドアを閉めた後でも聞こえた。
ふと道路の向かい側をみたら、ヒューガが首をかしげている。
「メイの家、またネコ飼いだしたのか?」
「あ、うん、ちょっと預かってるだけで」
アイルちゃんを見つけたら、チロルは元の世界に一緒に連れて帰るって言ってたから、とりあえず預かりネコってことにしとこう。
「そっか……、あのさ、ネコって飼うの難しい?」
「難しくはない、けど。時々病気もしたりするし、かわいがるだけじゃダメだから大変かも」
「病気……したら、どうするんだ?」
「うちは、病院に連れて行ってたよ。でもすっごくお金がかかるらしくて保険に入ってたよ、ミイの時は」
「ふうん」
めずらしく話しかけてきたかと思ったら、なにか考えているみたい。
「ヒューガ?」
「あ、いや、なんでもない。先、行く」
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