第三章「ミサキちゃんとヒューガとわたし」

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 いつものように先に歩き出すヒューガの背中を追うように歩きながら、通学路の途中の脇道や、塀の上に目を向ける。  よく野良ネコちゃんたちが歩くような場所にアイルちゃんがいないだろうかと探しながら歩く。  チロルが言うには、アイルちゃんは亡くなってしまった博士に会いたいと願っていたらしい。  未来では今、時空を渡り歩く研究が進んでいて、アイルちゃんはその施設に忍び込み、この時代に穴を開けて、タイムリープしたらしい。  チロルは、その穴に落ちていくアイルちゃんを追いかけて、そうして空から落ちてきたみたいなんだけど。 「だったら、早く見つけてあげないとアイルちゃんだってケガしてるかもよね」  考えながらつぶやいたわたしのひとり言が、あんがい大きすぎたみたいでヒューガが足を止めた。  き、聞こえちゃってた! 「あのさ? おまえ、昨日から、なんかヘンじゃね?」  振り返ったヒューガがわたしを真っすぐに見ていた。 「へ、ヘンって、なにが? わたし?」  いや、どう考えてもヘンだと思うよ、わたしだって。  昨日は空から降ってきたネコ助けて、その後悲鳴上げながらヒューガを追い抜いたんだし。  今日は今日でキョロキョロしながら、大きなひとり言、つぶやいちゃってるし。  そんなわたしの変化を見逃さないのは、おさななじみだからだろう。 「また、なんかあった? 坂本とか?」 「ううん、全然!! それは、もう大丈夫!」  ヒューガに気づかれないように、ひきつり笑いのままでプルプル首を振った。  大丈夫、ではないけどね?
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