第三章「ミサキちゃんとヒューガとわたし」

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 坂本さんこと、坂本ミサキちゃん。  ミサキちゃんは、スポーツ万能で頭もよくて、いつも明るいからクラスのまとめ役みたいな女の子で、友達も多いしっかり者の美人さんだ。  四年生の秋くらいまでは、わたしもいつも一緒にいるくらいには、仲が良かったんだけど、ある時から関係が変わった。  わたしだけ、遊びに誘ってくれなくなったりとか、声をかけてくれなかったとか、そういう感じ。  わたしにはそんな態度を取られるようなことをした覚えがなく、ミサキちゃんに嫌われてしまったのかな? と毎日悲しい気持ちになったんだけど。  その時同じクラスだったミサキちゃんと仲のいい子がコッソリと教えてくれたこと。 「メイちゃんが、気づいてないようだから教えておくね! ミサキちゃん、ヒューガくんのことが好きなの知ってた? 夏休み、せっかく皆でお祭り行こうって約束してたのに、メイちゃん風邪ひいたって、来なかったじゃない? その時、ヒューガくんが言ったの。『メイが行かないなら、オレも行かない』って。それを聞いたミサキちゃんは『いつも、ヒューガくんは、メイちゃんばっかり』って、それで怒ってるの」  自分がなんで無視されてるのか、全然わかってなかったけど「そうだったのか」ってなんとなく納得できた。  ミサキちゃんは、いつもヒューガの側にいたし、わたしたちとは帰り道のコースが違うのに、遠回りして一緒に帰ることもあったから。  ヒューガとわたしは、幼稚園に上がる前からずっと一緒にいたし、幼なじみだし。  でも、そういうのが気にいらなかったのかな……。
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