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「サイアク……」
わたしにだけ聞こえるようにため息と一緒につぶやいたミサキちゃんの声。
まさかくじ引きで同じ班になるなんて思ってもなかったから、わたしも困っている。
「リーダー、誰にする?」
「ヒューガが、やれば?」
女子三人、男子三人。
計六人のグループにはヒューガまで入っているから、厄介なことになりそうで気持ちは更に重くなる。
「ヒューガくんでいいと思う~」
わたしたち三人の関係を知らない、五年生で同じクラスになったマオちゃんはニコニコと男子の意見に賛成してるから、リーダーはヒューガになり。
「じゃあ、副リーダーはメイちゃんでいいんじゃない? めちゃくちゃ仲良しだし」
フンっと顔を背けて、ミサキちゃんがイジワルそうな声でそんなことを言う。
ヒューガ以外の男子は、ミサキちゃんの言葉にトゲを感じたのか、様子を見ているみたい。
マオちゃんはわたしとヒューガの顔を見比べて首をかしげた。
「メイちゃんって、そんなヒューガくんと仲良かったっけ?」
「あ、うん。うち、ヒューガの家の前なの。幼なじみだから、ね」
あはは、と笑ってみせる。
五年生になってから、ほとんど口をきかないから、わたしとヒューガが幼なじみだなんてこと五年生から一緒になった子たちは知らないと思う。
「なら、朝倉さんでいいじゃん、副リーダー。家が近ければ何かと相談しやすいだろうし。ってことで、よろしく朝倉さん」
ヒューガと仲のいい野々村くんと神田くんが笑いながら「よろしく」という声に、マオちゃんもうなずいている。
ミサキちゃんだけは、ずっと目を反らしていたけれど、早く役を決めちゃった方がいいだろうし。
「じゃあ、やるね? よろしくお願いします」
パチパチと決定と、拍手をする事情を知らない笑顔の三人と。
わだかまりのある三人は、きっと対照的な顔をしていたと思う。
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