第三章「ミサキちゃんとヒューガとわたし」

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 校外日程予定日は、明後日。  行先は学区内にあるお寺や神社、商業施設など学校側がピックアップした中から、各班五つほど決めて事前にリサーチする。  班ごとにリーダー、副リーダー、タイムスケジュール係、保健係、記録係が二人。  マオちゃんが保健係、タイムスケジュール係がミサキちゃんとなった。 「だからあ、こっちに行くよりも、この神社に行った方が近いし時間的に短縮もできるし」 「坂本のスケジュールだと神社ばっかり行くことになるじゃん。それに他のグループより全然遠くに回れないし」  さっきからヒューガとミサキちゃんが、バチバチに言い争っている。  他の四人も口を挟もうとするんだけど、その度にミサキちゃんにキッと睨まれちゃって誰も何も言いだせないまま、時間だけが過ぎる。  その内、ミーティング時間終了のチャイムが鳴ってしまい、そこで一旦話し合いは終了となってしまった。 「まだ決まっていないのは、三井くんのグループだけね! お昼休み、六人でもう一度話し合いできるかしら?」  ヨウコ先生の心配そうな顔、きっとさっき言い争っていたのを見ていたんだと思う。  六人とも無言で頷いて、給食を食べ終えてからまたヒューガの席の近くに集まった。  今度はムスッとしたまま何も言いださないミサキちゃんにヒューガも黙ってしまって、仕方なくわたしが口を開く。 「あ、あのね、皆それぞれ行きたい場所をあげてみない? そこから五か所を決めてルートを決めるのってどうかな?」 「だな、行き先すらまだ決まってないし、時間ないしな」  神田くんが応えてくれたら、マオちゃんや野々村くんも笑顔で了解してくれたけど。 「いい、かな? ミサキちゃん、ヒューガ」 「オレは別に早く決まればそれで」 「どうぞ? 副リーダーの方がタイムスケジュール係よりも決定権があるでしょ」  勝手にしたら、と言っているけど反対してるわけではなさそう。  六人それぞれ行きたい場所を紙に書いたら、大きな神社の名前を書いたのはわたしともう一人いて、ちょうど五か所となった。
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