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ヒューガの顔を見た時、空にチカッと光る何かを目の端でとらえた。
あ……!!
わたし、知ってる、あの光ったもの。
だって見たことあるもん!
空を見上げたら、雲の切れ間から黒い点が落ちてくる。
小さな点は少しずつ大きくなってくる、あれは――。
ネコだ、黒ネコだ。
昨日、ゴムマリみたいに弾みながら道路に転がってきて、車にはねられたあの子だ!
あわてて両手を広げて、黒ネコがどこに落ちてくるのかをオロオロしながら歩き回る。
「なんだ、あれ? カラスか?」
ヒューガもわたしがなにを見ているのかわかったみたい。
「ネコだよ、黒ネコ」
「なんで、ネコが空から?」
「知らない、でも道路に落ちたら怪我しちゃう。助けないと」
きっと、あのネコは昨日、道路に落ちた衝撃で動けなくなっちゃって、それで事故にあったんだもの。
「メイ、こっち側持て!」
「え?」
ヒューガは急いでランドセルを降ろすと、自分の上着を脱いで広げ、片側をわたしに持てと言う。
この上着でネコをキャッチしようって、そういうこと?
あわてて上着を掴み広げながら、ネコが落ちてくる方に二人で走り回る。
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