第一章「もう一つの昨日」

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 えっと、ヒューガ? ヒューガってば?  尻もちをついた姿勢のまま、動かず、まばたきもしないままのヒューガの目の前でヒラヒラと手を振ってみたけど反応がない。 「ヒューガ? ねえ、ヒューガ? どうしたの? ねえ、ヒューガ⁉」  いくら普段かわいげがなくなって、幼なじみだもん。  尻もちをついた衝撃でヒューガの心臓止まっちゃった、とか?  いやだ、そんなのって、そんなのって!! 「ヒューガ――! 死なないで、お願い、ヒューガ!!」  黒ネコちゃんを放り投げ、ヒューガの肩を持ち、泣きながら揺さぶろうとしたわたしの耳に。 「死んでない、死んでない。ちょっと時間を止めてるだけだし。今、この世界で動いているのは、ボクとキミだけだよ? あ、ボクね、今疲れてるから、三分ほどしか時間が止められないかも。手短に説明したいんだけど、いい?」  ちょんとわたしのヒザに手? いや、足? を置いた黒ネコちゃんが、やはり人間の言葉を話している。  ……、なに、これ……? 「もしもーし? ねえ、聞こえてる?」 「き、聞こえてます、はい」 「あ、良かった。じゃあ、説明するね」 「やだ、なんか怖い、なにこれ!」
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