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だってネコが話して、ヒューガが石みたいになってる。
というか、よく見たら車も歩いている人も、全部止まってるとか、一体何事なの⁉
わたしだけが別の場所に飛ばされちゃったみたいな気がして、何も聞きたくないと首を横に振ったのに。
「昨日、いや、正確にいえば『もう一つの昨日』、ボクと出会ったこと覚えていない?」
「……」
覚えている。
さっき青い光に包まれた瞬間、思い出したんだ。
あの時、わたしの目の前に落ちてきた黒ネコが車にはねられる瞬間、赤い光が町を包んだ。
赤い光の中で、黒ネコとわたしの目が合った。
その後は、覚えていないけれど。
朝起きてから黒ネコに会うまでの記憶は、今日と同じだ。
「危うく、ボク死んじゃうとこだったんだよね。で、とっさに時間を巻き戻したわけ。目が合ったキミにSOSを発信してね」
赤い光に包まれた時、聞こえた、あの声。
『タスケテ!』
夢の中で聞こえた気がした声は、確かにこの子だった。
というか、この子は本当にネコなの?
ネコって、にゃあって鳴くはずでしょう?
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