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ウェインスロットは馬から急ぎ降りると、本陣を任されている兄であるガルシア公爵の下に行きに詰め寄る。
本陣ではウェインスロットの予想通り、早々と撤退作業を進めていた。
ウェインスロットが身長180センチの瘦せ型で筋肉質な体系に対し、ガルシアは165センチの中肉中背の体系と体格差があるため、ウェインスロットが見下ろす形になり、ガルシアは威圧感を感じていた。
「兄上、まだ負けてはおりませぬ。兵を引いては成りませぬぞ。ここを陥落させたら、今度はオタリア帝国にもランカスターを攻め入られ、王都アルガスは無防備な状態になってしまいます」
「かと言ってウェインよ、どうすればよいのじゃ。無駄に兵を失うことはできぬ」
「ならば、私にお任せを。夜まですべての兵を守備にまわしてここを絶対に守って下さい。さすれば夜になったら私が戦況を覆して見せましょう」
「本当に大丈夫なのか」
ガルシア公はウェインの蒼眼を恐る恐ると見据える。風が吹き金色のウルフカットの髪が靡く。
ウェインはガルシア公の黒目を見据え微動だにしない。
ガルシア公はウェインの気迫押され渋々と告げる。
「全軍守りを固めて夜までここをもたせるのじゃ」
「はっ、全軍防衛の任に入ります」
侍従長の声に反応し伝令兵が走る。
「ウェインよ。頼んだぞ」
「はっ、お任せを」
ウェインスロットはそう答えると笑みを零し、本陣を後にする。
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