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7人の塊は地上に出ると、日比谷公園の中を通り、草木に囲まれた2階建てのレストランのエントランスへと進んでいく。外にはかなりの数の席があり、囲いとなっているハーブや小さな草花が夏の日差しの下で温い風に揺られていた。
「もっと涼しくなったらテラス席に座りたいわね」
「そうね、秋深くなったら、今度はテラス席だね。夏は暑くて、中年の体には堪えるもん」
アハハ!と甲高いのと野太いのと、二種類の笑い声が弾けた。
予約していると店の人に告げたのは京子。
店員に案内され店の中の階段を上がっていく一行の後をそのままついていこうとした時、「ご予約のお客様ですか?」と店員が虎之助に声をかけた。
「あ、いえ、違います」
「二階席は本日ご予約のお客様で満席なので、一階かテラスのお席になりますが」
想定外の事態に口ごもったが、じゃあテラス席で、と答えるとこちらへと店員は伸びた背筋で虎之助を炎天下へ誘導した。そうだ表は暑いんだった失敗した、と後悔したが、運よく木陰の席に案内されたのはラッキーだった。
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