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注文を取りに来た店員の後姿を見送っていると、息せき切らした中年の男性がテラス席を貫く通路を通り抜けていく。顔はよく見えなかったが、薄いブルーの半袖シャツに紺色のパンツ姿は印象に残った。
もしや、とスマホに視線を落とす。駅からこのレストランに到着してそろそろ30分。遅刻野郎が到着してもいい時間だ。
椅子から伸びあがって見ていると、さっき虎之助が声をかけられたのと同じ辺りで男性も呼び止められている。そして店員は手で指示した方向へと男性を導いて、二階への階段を上がっていった。
・・多分あれが遅刻野郎の梶谷君だな・・
今の男性があのグループの一員なのかは彼らが店を出てくるまでわからない。が、虎之助は自信を持っている。僕にだって直感はあるんだぞ、と買ったばかりのタブレットパソコンにここまでの経過と、
[ブルーシャツが遅刻野郎で(おかめ)の相手と思われる]と打ち込んだ。
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