コノミ書店の裏仕事４ 幼馴染を見捨てるなの巻

男性客からの調査依頼

「はい。実は・・妻が、中学校の同窓会に参加してから様子が変わって。もしかしたら浮気かと疑いを持っているんです」
　でた！と心の中で弥生は叫んだ。あまりにもありがちな、同窓会不倫。テレビドラマの世界だけで収めておけばいいものを、現実の世界でも数知れないリアルドラマが生まれている。出会いを求めていなくとも、子供の頃、思春期の頃の思い出が気持ちを引き寄せあって、いつしか純粋無垢な感情は不純物にあふれた感情へと変わっていく。
　これまでの依頼の中でも何件も扱った。同窓会をきっかけに焼け木杭に火、という内容。ただ、夫からの依頼というのは今回の津島がお初となる。さて、いったいどんな状況なのだろう。弥生は依頼者に続きを促した。
「三ヶ月ほど前、妻は中学の同窓会に出席しました。彼女は東京生まれ東京育ちで、下町の区立中学校に通っていました。会場は銀座の高級中華の有名店だって、どちらかといったら食事を楽しみにしていたようです。二次会までの参加で帰ってきましたが、それから二週間後に、三次会に行かれなかったメンバーで集まることになったと土曜の夕方から出かけていきました。それをきっかけに二週間おきに出かけるようになって。いっきに中学時代に戻ったみたいにみんな盛り上がったとかで、年齢的にも自身の楽しみを満喫しようって」
なるほど、と弥生は最後の言葉に大いに納得した。